現代アイドルの常識「ポジションによる序列」を採用しない欅坂46。8thシングル『黒い羊』のフォーメーション発表を見て【コラム】

1月27日深夜放送の「欅って、書けない?」(テレビ東京系)放送にて欅坂46の8thシングル『黒い羊』(2月27日発売)の選抜メンバー発表が行われ、8作連続で平手友梨奈がシングル表題曲の単独センターを務めることが明らかになった。

センターこそこれまでと同じく平手友梨奈が務めることが発表されたが、そのほかのポジションでは初の試みも見られた。これまで全員選抜・全員フロントで楽曲のパフォーマンスを行ってくるなど様々な試みを見せてきた欅坂46だが、ここにきて3列目を未経験だった鈴本美愉が3列目の左端、長濱ねるが3列目の中央に入ることになったのだ。これは衝撃的ともいえるポジション変化だった。

現代アイドルの常識「ポジションによる序列」を採用しない欅坂46

AKB48、乃木坂46でも見られた「ポジションによる序列」

同じく秋元康プロデュースの48グループや乃木坂46に限らず、多くの大人数アイドルグループでは毎シングルごとに「選抜発表」や「フォーメーション発表」を行っている。ここでは様々な指標で優劣を判断されたメンバーがその結果を知ることになる。人気・実力のあるメンバーがセンターやフロントと呼ばれる最前列のポジションにつくことになり、そうではないメンバーの位置は2列目、3列目と下がっていくことになる。ここでメンバー間の序列はその立っている位置で可視化されることになる。

その最たるものが毎年行われている「AKB48選抜総選挙」だろう。ファンの投票によってシングル表題曲を歌うメンバーを決めるこのイベントでは、センターそしてフロントから順位上位のメンバーが立つことになる。AKB48の公式ライバルとして結成された乃木坂46でこのイベントは開かれていないが、フロントおよび2列目のメンバーを「○福神」と呼び、3列目の「選抜メンバー」と区別している。

そんな中、メンバーだけではなくファンの間でもポジションが重要視されていくのは当然ともいえる帰結だろう。前述した様々な指標には「ファンからどれだけ応援されているのか?」という点も含まれており、ファンはお気に入りのメンバーの序列を押し上げるために行動をとるファンもいる。以前、乃木坂46ファンの間に「ブログのPVやコメント数が選抜やポジションに影響がある。だから積極的に閲覧&コメントを書き込もう」という話が広がったのもこのせいだ。

しかしその「常識」が通用しない欅坂46

だが、その現代アイドルの「常識」とも言える「ポジションによる序列」は欅坂46には適用されていない。当初こそ、「欅坂46のアンダーグループとして」けやき坂46のメンバーを募集したり、合格発表時のフロント4人を全員デビューシングル『サイレントマジョリティー』のフロントメンバーに採用するなど、選抜&ポジション決定には先輩グループの影響が見られた。また3rdシングル『二人セゾン』の選抜発表では、センターを先に発表しその後にフロントメンバーを発表したことで、フロントメンバーにひらがなけやきからメンバーが入るのではないか?という演出が行われたこともある。

しかし、そのような要素は次第に薄まっていくことになる。1stシングル『サイレントマジョリティー』こそフロントから5:6:9と序列を感じさせるフォーメーションだったが、3rdシングル『世界には愛しかない』からは均等な7:7:7のフォーメーションが採用された。(3人が参加しなかった7thシングル『アンビバレント』では左右対称を意識したせいか5:5:8のフォーメーションとなった。)

その後2017年9月に行われた5thシングル『風に吹かれても』の選抜発表を最後に、欅坂46では選抜発表は行われていない。6thシングル『ガラスを割れ!』以降はVTRによるナレーションで「フォーメーション発表」が行われており、「選抜されるのか?」という視点は欅坂46から失われている。欅坂46より忙しいと思われる乃木坂46ができるだけ選抜発表の場面を冠番組『乃木坂工事中』で放送しようとしているのとは大きな違いだ。

欅坂46は「握手人気が高く」「外仕事の多い」メンバーを2列目に下げてでも、全員にフロントを経験させてきた。そのフォーメーション決定が功を奏したのは3rdシングル『二人セゾン』だった。『二人セゾン』では齋藤・佐藤・小池・原田・守屋と一気に5人が初フロント入り。バレエを習っていた佐藤詩織と原田葵がフロントに立ち、振付にも取り入れられるなど、印象的なパフォーマンスが行われた。

「常識」ではありえない鈴本美愉と長濱ねるの3列目

27日の選抜発表でファンを驚かせたのは、3列目の左端として1番最初に鈴本美愉の名前が呼ばれたことだった。これまで鈴本は欅坂46ナンバーワンのダンススキルで、センター平手友梨奈の隣で存在感を発揮してきた。そして、平手友梨奈の負傷に伴い『アンビバレント』では真っ先にセンターを務め大きな話題にもなった。たしかに3列目の両端は全体のバランスを見て踊らなくてはいけないため難しいポジションではあるが、これまで5/7回でフロントに立ってきた鈴本の名前が「常識的に言えば序列最下位の場所で」呼ばれたのは意外というしかなかった。

そして同じく初めて3列目として名前が呼ばれたのは長濱ねるだった。『世界には愛しかない』での初選抜以降、長濱はフロントと2列目しか経験していない。昨年は上半期に発売した写真集が大ヒット、クイズ番組をはじめバラエティー番組への出演も相次ぎ、坂道AKBではセンターの大役も務めた。アイドルファン以外の人への知名度も高いだろう。他のグループだったらフロントか2列目の中央か、そのあたりのポジションに立っていそうだ。

だが、やはり「常識」は欅坂46には通用しないようだ。2人のほかにも、個握一次応募で唯一全完売した長沢、二誌のモデルを務めている梨加が3列目に入る一方、個握ではなかなか完売が出なかった石森がフロントに入るなど、そのフォーメーションから序列は感じられない。今後白石麻衣・齋藤飛鳥・生田絵梨花が3列目に入ることは絶対ないと断言できる乃木坂46とは決定的に異なるようだ。

「ゆうがたパラダイス」に出演した際に、リスナーのメールからフォーメーションについて率直な感想を求められた織田奈那は「欅のパフォーマンスってさ、フォーメーションがわからないじゃん、それで踊るかわからないからなんともいえないけど」と明かしていた。そのコメントの通り、欅坂46はパフォーマンスの途中で3列の隊列を頻繁に崩している。そんな欅坂46においてフォーメーションとは「楽曲のコンセプトを表現するのに最も適した布陣」であると共に、「楽曲の最初と最後の立ち位置」を意味するものでしかないのかもしれない。

欅坂46の振付を担当してきたTAKAHIRO先生は「ただフォーメーションがあるからアイドルじゃなくてアイドルグループがより自分たちの良さを見せるためにフォーメーションがあるわけで」と語っている。TAKAHIRO先生がフォーメーションを決定しているわけではないだろうが、8thシングル『黒い羊』のフォーメーション発表の前には、真っ黒な画面に灰色の△が表示された。この△がどんな意味を持つのか、それはパフォーマンスにどのような形で表れるのか、テレビやライブでのパフォーマンスが待たれる。そのときのパフォーマンスから「もんちゃんが3列目の左端なのはこのパフォーマンスのためなんだね」という理解が広まることを期待したい。

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